プロドライバーのSAS対策を、社会の安全を支える取り組みに。世田谷区の死亡事故報道を受けて。

2026年4月、東京都世田谷区で、配送中の車が歩行者の男性をはね、男性が亡くなる事故がありました。同年9月には、この事故の運転者が危険運転致死罪で在宅起訴されたと報じられています。報道によると、運転者は睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されており、事故の際にはSASの影響で意識を失っていたとされています。[出典:朝日新聞・2026年9月14日]
亡くなられた方に謹んで哀悼の意を表するとともに、ご遺族に心よりお悔やみ申し上げます。
報道では、運転者が自らの判断で通院をやめ、治療を中断していたことも伝えられています。この記事では、プロドライバーの健康と社会の安全を守るために、企業としてSASにどう向き合えばいいのかを考えます。
報道から確認できる経緯
2026年9月18日までの報道をもとにまとめています。今後の捜査や報道などによって、内容が変わる可能性があります。
時期 | 報道された内容 |
2025年3月ごろ | 運転者が重度のSASと診断され、CPAP(シーパップ)治療を始めたとされる。[朝日新聞・2026年9月14日] |
2025年11月 | マスクの装着が苦しいことなどを理由に、自己判断で通院をやめて治療を中断したとされる。[朝日新聞・2026年9月14日] |
2026年4月 | 世田谷区で配送中の車が歩行者の男性をはね、男性が亡くなる[FNNプライムオンライン・2026年8月6日] |
2026年8月6日 | 運転者が日頃から眠気を感じていたが、収入を得るために配送の仕事を続けていたと供述していると報じられる。[FNNプライムオンライン・2026年8月6日] |
2026年9月14日 | 危険運転致死罪で在宅起訴されたと報じられる。[朝日新聞・2026年9月14日] |
診断を受けて治療を始めても、治療を中断すれば、SASによるリスクを抑えることができません。企業のSAS対策では、検査を受けてもらうだけでなく、必要な方を治療につなげ、その後も治療を続けられるように支えることが大切です。
国土交通省のマニュアルでも、検査後の対応や乗務判断について企業が課題を抱えていることに触れ、治療継続の確認まで含めた対応を示しています。治療を続けられているか、続けるうえで困っていることはないかを確認し、必要な支援につなげることも、会社のSAS対策の一部です。
では、ドライバーに健康に働き続けてもらうために、会社はどんな仕組みを整えればいいのでしょうか。まずは、SASという病気と対策の基本を確認します。
SASは本人の自覚だけでは気づきにくい病気
SASは、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりする状態をくり返す病気です。日中の眠気や起床時の頭痛などがみられ、肥満のない人にも起こります。一方で、本人が眠気を感じていない場合もあるため、問診や自覚症状だけでは発見できないことがあります。
SASの代表的な治療法は、睡眠中にマスクから空気を送って気道が塞がらないようにするCPAP療法です。CPAPを継続して使用した患者では交通事故率の低下が認められた研究もあり、SASによる事故を防ぐには早期発見と治療が重要と言われています。
[出典:日本呼吸器学会、Karimiら・2015年]
SAS対策はドライバーの健康と社会の安全のために
当NPO法人は、SASスクリーニング検査を通じて、長年にわたりプロドライバーの健康管理に携わってきました。その立場から大切にしているのは、SASの可能性を見つけることだけではありません。必要な受診や治療につながり、その後も治療を続けられるよう支えることが重要だと考えています。
運転を仕事にする人の健康を守ることは、社会の安全にもつながります。その両方を守るためにも、プロドライバーのSAS対策は本人任せにせず、企業が組織として取り組んでいくことが大切です。

実際に、当NPO法人の検査を導入していただいている企業の中には、精密検査費用の負担や通院への配慮、治療状況の確認といった取り組みをしているところもあります。
企業での具体的な取り組みについては、愛知陸運のSAS対策事例でも紹介しています。
ドライバーが必要な治療につながり、安全に働き続けられるよう支えることは、企業が社会の安全を守るための取り組みの一つです。当NPO法人も、検査と啓発を通じて、企業の皆さまの取り組みを支えていきたいと考えています。
ドライバーが安全に働き続けるために、会社で整えておきたいSAS対策
企業でのSAS対策は、検査だけで終わらせず、治療継続の確認や乗務判断までを一連の会社ルールとして整えることをおすすめします。

SASスクリーニング検査:本人の自覚に頼らず、検査を受ける機会をつくる。
精密検査・治療:検査で精密検査が必要とされた人を医療機関での診断と治療につなげる。
治療継続の確認:治療上の困りごとを把握し、継続状況を確認する。
安全に乗務してもらうための会社ルール:担当者、費用や通院への支援、治療継続の確認方法、医師との連携などを決めておき、必要な検査や治療を受けながら安心して働ける環境を整える。
国土交通省のマニュアルでも、SASスクリーニング検査から精密検査・治療、その後の治療継続や乗務可否の判断まで、一連の対応が示されています。なお、スクリーニング検査だけで診断や乗務可否を判断するものではありません。[出典:国土交通省マニュアル・第2章]
SASの基礎知識や具体的な対策、企業の取り組み事例はこちらの記事でも紹介しています。
SASスクリーニング検査は、SAS対策の第一歩です。まだ検査を導入されていない企業様も、これまでの取り組みを見直したい企業様も、SASスクリーニング検査の実施についてお気軽にご相談ください。
検査の詳細は、SASスクリーニング検査のご案内をご覧ください。
導入や運用のご相談は、お問い合わせページで承っています。
※事故に関する記述は、2026年9月18日までに確認した報道に基づきます。個別の事故原因や法的責任を当NPO法人が認定するものではありません。


